ミライト・ワン(1417)の株価を分析していきます。
ミライト・ワンを5つのポイントで説明
- 電気通信設備のサブコンで業界3位
- 主力はNTTグループ向けの通信建設事業だが長期的には低減傾向
- 経営効率は平均的だが財務体質はかなり優秀
- 総還元性向50%を目安にしていて12年連続減配無し
- 株価は底打ち感もあるが週足26MAを超えれるかに注目
ミライト・ワンの概要
ミライト・ワンは、電気通信設備のサブコンで業界3位の企業です。
サブコンとは
ミライト・ワンは、2010年に大明・コミューチュア・東電通が経営統合してミライトHDが設立されました。
- 大明:NTTグループやKDDI等の通信事業者の電気・通信基盤構築を手がける企業
- コミューチュア:西日本最大の通信設備業者
- 東電通:NTTグループを中心に電気通信事業者の工事を請け負う大手企業
引用:ミライト・ワン
その後、2022年7月1日にミライトHD、ミライト、ミライト・テクノロジーズの合併により「ミライト・ワン」に社名を変更しています。
この3社の統合の効果は、約40億円になると試算されています。
ミライト・ワンの通信設備事業は、ローカル5Gに強みを持っています。
主力の顧客はNTTグループが主力ですが、各モバイルキャリアからも基地局工事を請け負っています。
各モバイルキャリアからの仕事を受けているので安定している思います。
しかしミライト・ワンは、この通信建設事業が長期的に低減傾向になると考えています。
理由は、少子化で通信需要の頭打ちが懸念されるだけではありません。
技術革新により通信基地局や設備が汎用化・小型化していく見通しになっている事なども理由です。
そこで収益源の多様化を目指していて、今後の成長分野を「みらいドメイン」としています。
この「みらいドメイン」をフルバリュー型のビジネスモデルで展開しています。
成長分野「みらいドメイン」
引用:ミライト・ワン
ミライト・ワンは、成長事業として「みらいドメイン」として再定義しています。
「みらいドメイン」とは、主に4つの事業の強化になります。
- 「街づくり・里づくり/企業DX・GX」 事業の加速
- グリーン発電事業 の拡大
- ソフトウェア事業 の強化
- グローバル事業 の強化
この「みらいドメイン」を従来の総合エンジニアリング&サービスではなく、フルバリュー型モデルで展開する事で成長を加速させる計画です。
引用:ミライト・ワン
西武建設の子会社化
引用:ミライト・ワン
ミライト・ワンは、2022年3月に西武建設を子会社化することで事業領域を拡大しています。
西武建設は名前の通り西武HD傘下の企業で、埼玉県内で売上高首位のゼネコンです。
西武HD傘下と言う事もあり、鉄道や駅関連施設の工事や西武線沿線を中心とした地域の開発や交通インフラの整備を行っていきました。
その他にも日本各地でマンション・ホテル・レジャー・リゾート施設の建築・リノベーションに携わってきています。
この実績を活かして「みらいドメイン」の「街づくり・里づくり/企業DX・GX」 事業の加速させていきます。
事業セグメント
ミライト・ワンの事業は、4つセグメントで成り立っています。
- NTT事業:NTTグループの固定系通信設備の建設・保守
- マルチキャリア事業:全モバイルキャリアの通信設備の建設・保守、NCC向け固定通信設備、CATV工事、グローバル等
- 環境・社会イノベーション事業:環境・新エネルギー関連、社会インフラ構造、電気・空調設備の建設・保守
- ICTソリューション事業:クラウド・オフィスソリューション・Wi-Fi・ソフト・放送波等、情報通信システムの建設・保守
ミライト・ワンのセグメント別売上構成比(2022年3月期)
引用:エクシオグループ
ミライト・ワンの売上の主力は、NTT事業になり全体の34.7%を占めています。
その次に、ICTソリューション事業が30.8%、マルチキャリア事業が22.6%となっています。
NTT事業は、下落傾向になっていく事が予想されています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.3倍
- PBR:0.61倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、12MAは24MAと60MAを割り込んでいます。
直近10年を見ても60MAを少し割り込んでいてもすぐに反発していました。
現在は、60MAを大きく割り込んで1500円付近で底打ちを試そうとしています。
週足5年チャートを見ると3本共下向きで中期的には下落傾向です。
ローソク足は、26MAで押し戻されているので下落トレンドです。
週足5年チャートを見ても底打ち感が出ているようにも見えます。
まずは、週足移動平均線の26MAをしっかり超えていけるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2022年に4703億円、営業利益の過去最高も2022年で328億円です。
売上高は6期連続の増収で過去最高を更新しています。
23年3月期の売上高は過去最高を更新予想ですが利益面では減益を予想しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.56%
- ROE:8.34%
- ROA:5.23%
- EPS:204.5円
電気通信設備サブコン3社の平均ROE8.19%、ROA5.14%です。
ミライトワンの経営効率は平均的な企業になります。
電気通信設備サブコン3社の平均営業利益が6.17%なので、平均を少し下回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:55.6%
- 有利子負債倍率:0.25倍
ミライト・ワンの財務体質は、優秀な財務体質です。
電気通信設備サブコン3社の自己資本比率の平均が58.9%です。
ミライト・ワンの自己資本比率は、3社のなかでも平均をわずかに下回る企業です。
しかし、有利子倍率は0.25倍なのでかなり健全な財務体質です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して40.3%もあります。
中期経営計画
ミライト・ワンは、2026年度までの中期経営計画を発表しています。
業績目標
引用:ミライト・ワン
ミライト・ワンは、2026年度の売上高7200億円以上、営業利益540億円以上を目標にしています。
また2022年度は、売上高5400億円、営業利益300億円を目標にしています。
みらいドメインの成長加速
「街づくり・里づくり/企業DX・GX」 事業の加速
引用:ミライト・ワン
「街づくり・里づくり/企業DX・GX」 事業では、スマートゼネコンを目標にフルバリュー型の提案を進めながら、建築・土木のソリューションを強化します。
グリーン発電事業の拡大
引用:ミライト・ワン
グリーン発電事業では、ハイクオリティ・ローコストなグリーン発電事業を展開します。
その為に、今後は発電設備だけでなく、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)や卸電力などグリーン発電の分野にも進出する予定です。
ソフトウェア事業の強化
引用:ミライト・ワン
ソフトウェア事業は、ソフトウェアビジネスや通信インフラの仮想化、ICT技術を活用した企業のDX支援などの事業に取り組みます。
グローバル事業の強化
引用:ミライト・ワン
グローバル事業では、アジア太平洋地域におけるデータセンター、通信タワー事業を中心に事業を拡大していく計画です。
またデータセンターのグリーン化事業なども検討しています。
財務目標
引用:ミライト・ワン
ミライト・ワンは、今回の中期経営計画で株主還元を一層強化しています。
総還元性向50%を目線にしていて、利用目的のない自己株式は消却を検討しています。
また、経営効率を表すROEは10%以上、EPSの成長率を年10%以上を目標にしています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:60円(2023年3月期)
- 配当利回:4.00%(2022年12月3日)
- 配当性向:29.3%
ミライト・ワンの配当は、ミライトHDを設立した2010年からは一度も減配していません。
23年3月期の配当金は、60円を予定していて3年連続増配予定です。
ミライト・ワンの財務状況と剰余金比率はかなり優秀です。
今後の配当維持や増配余力に関しては問題ありません。
株主優待
引用:ミライト・ワン
ミライト・ワンは、毎年3月末日時点に1年以上かつ100株以上保有でクオカードがもらえます。
クオカードも保有株数や保有期間によっても金額が変わります。
まとめ
ミライト・ワンを買うなら、週足移動平均線の26MAを超えてから購入したい。
チャートを見ると月足と週足を見てもローソク足が移動平均線を割り込んでいます。
株価は底打ち感がありますが、移動平均線を見ると下落傾向になっています。
まずは週足移動平均線の26MAを超えていければトレンドの転換になるので様子を見たいです。
ミライト・ワンの経営効率は大手通信設備3社の中でも平均的です。
財務体質も平均的ですが、数値はかなり優秀です。
株主還元についても積極的で総還元性向50%を目安にしています。
また配当金は、2010年から減配をしていません。
今後の増配の余力は、優秀な財務体質なので増配余力は十分あります。
ミライト・ワンの主力事業は、NTTグループの向けの事業になります。
また、NTT以外の各キャリアの受注もあるので今後も安定していると思われます。
しかし長期的には、低減傾向にあるとミライト・ワンは認識しています。
今後の成長に関しては、収益の多様化をめざして「みらいドメイン」に注力しています。
この「みらいドメイン」の4つの事業がしっかり加速して成長しているかに注目です。
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