宮地エンジニアリンググループ(3431)の株価を分析していきます。
宮地エンジニアリンググループを5つのポイントで説明
- 橋梁や大規模な構造物の設計から維持・補修まで一貫して対応できる技術力が強み
- 経営効率と営業利益率は大手橋梁専業メーカー4社の中では平均的
- 高速道路の新設橋梁の参画や大規模更新工事、スタジアム等の建築物に注力
- 直近10年の配当は右肩上がりで財務体質もかなり健全
- 株価は調整局面だが3300円の節目を守れるかに注目
宮地エンジニアリンググループの概要
宮地エンジニアリンググループは、橋梁・他鋼構造物に関する設計・製造・現場架設・床版工事まで手掛ける、総合エンジニアリンググループです。
連結子会社に宮地エンジニアリングとエム・エムブリッジ、非連結子会社にエム・ジー・コーポレーションがグループ企業です。
主力事業は、国土交通省、高速道路会社、都道府県等の官公庁から発注される橋梁の製作・施工です。
道路の橋梁だけでなく、 新幹線や幹線鉄道上に架かる難易度の高い橋梁建設工事も手掛けてきました。
今後は、既設橋梁の保全・補修事業、合成床版などのFRP事業、海外事業、土木関連事業等に注力していく計画です。
主要グループ企業
宮地エンジニアリング
宮地エンジニアリングは、鋼構造の設計・製作から建設工事・保全・耐震工事などを手がける会社です。
ルーツは、橋梁の設計や製作を強みを持つ宮地鐵工所になります。
その宮地鐵工所と、橋梁、タワー、ドームといった鋼構造物の架設や保全工事を強みとする宮地建設工業が合併してできた企業です。
最大の特徴は、大規模な構造物の設計から維持・補修まで一貫して対応できる技術力が強みです。
太陽光発電事業やFRPを活用した事業展開も行っています。
エム・エムブリッジ
エム・エムブリッジは、橋梁事業をはじめとする鋼構造製品の総合エンジニアリング会社です。
ルーツは、日本初の鉄の橋「くろがね橋」を建設した長崎製鉄所になります。
その後三菱重工の橋梁部門として、名だたる橋梁を建設してきました。
その後、2015年4月に宮地エンジニアリンググループと三菱重工業の共同出資を受け発足しました。
エム・ジー・コーポレーション
エム・ジー・コーポレーションは、鋼構造物の設計・製作・架設、ボルト・溶接材料等の販売、人材派遣業務を行っています。
事業セグメント
宮地エンジニアリンググループは、主に2つの事業から成り立っています。
- 宮地エンジニアリング:新設橋梁の設計・製作・現場施工、既設橋梁の維持・補修・補強、橋梁周辺鋼構造物、複合構造物の設計・製作・現場施工、その他鋼構造物の製作・現場施工、FRP構造物の販売、プレストレストコンクリート橋梁、その他土木事業、大空間・超高層建築物、鉄塔、煙突、工場建物、既設構造物の耐震・免震工事等
- エム・エムブリッジ:橋梁、沿岸構造物等の設計・製造・据付・販売及び修理、土木建築工事の請負・設計・工事監理等
- その他事業:純粋持株会社
宮地エンジニアリンググループのセグメント別売上構成比率(2022年3月)
売上高の主軸は、宮地エンジニアリングになり全体の57.1%を占めています。
エム・エムブリッジの売上も全体の41.5%なのでバランスの取れたグループ企業です。
宮地エンジニアリンググループの利益構成比率(2022年3月)
利益の主軸も宮地エンジニアリングになり、全体の50.2%を占めています。
宮地エンジニアリングの利益率は9.5%、エム・エムブリッジの利益率は10.2%になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.5倍
- PBR:0.68倍
時価総額200億円以上の橋梁専業メーカー3社の平均PERが7.5倍、PBRが0.57倍になります。
この事から考えると宮地エンジニアリンググループの株価は、妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、2020年からの株価は右肩上がりに上昇してきました。
直近10年間の高値を更新した後は、3300円付近まで下落して調整しています。
月足移動平均線は3本共右肩上がりです。
週足5年チャートを見ると現在は調整中ですが、節目は3300円付近にあることが分かります。
週足移動平均線は、52MAは上向きですが13MAと26MAは折り返して下落傾向です。
この3300円の節目を守れるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2020年に638億円、営業利益の過去最高は2022年の58億円です。
22年3月期は増収減益を予想していますが、売上高は過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:8.46%
- ROE:8.99%
- ROA:4.85%
- EPS:440.8円
大手橋梁専業メーカー4社の平均ROE8.39%、ROA4.58%になります。
宮地エンジニアリンググループの経営効率は、平均的な経営効率と言えます。
大手橋梁専業メーカー4社の平均営業利益が8.02%なので、平均的な利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:54.0%
- 有利子負債倍率:0.01倍
大手橋梁専業メーカー4社の自己資本比率の平均が56.2%なので、平均を少し下回る自己資本比率です。
大手橋梁専業メーカー4社の有利子負債倍率の平均が0.17倍なので、平均を下回る有利子負債倍率です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して34.9%もあります。
中期経営計画
宮地エンジニアリンググループは、2026年度までの中期経営計画を発表しています。
経営数値目標
引用:宮地エンジニアリンググループ
事業戦略
新設橋梁ビッグプロジェクトへの参画
引用:宮地エンジニアリンググループ
新設の橋梁はビッグプロジェクトが複数予定されています。
総合エンジニアリング⼒を活かして、ビッグプロジェクトへの参画を⽬指しています。
主なターゲット案件は、阪神⾼速道路⼤阪湾岸道路⻄伸部や下関北九州道路などです。
高速道路大規模更新工事への取り込み拡大
今後、⾼速道路⼤規模更新⼯事は継続的な発注増⼤が⾒込まれます。
この大規模更新工事を事業ポートフォリオとして確立させる計画です。
⺠間の⾼難度⼯事への対応
宮地エンジニアリンググループには、鉄道関連の特殊架設や⼤空間建築構造物で培った安全施⼯技術があります。
この技術の活用で、新幹線延伸⼯事やスタジアム、アリーナ等の⼤空間建築構造物の受注を⽬指します。
投資戦略
引用:宮地エンジニアリンググループ
資本戦略
引用:宮地エンジニアリンググループ
宮地エンジニアリンググループは、26年度までの中期経営計画で総還元性向30%を掲げています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:140円(2023年3月期)
- 配当利回:4.22%(2022年7月15日)
- 配当性向:31.7%
宮地エンジニアリンググループの配当金の推移は、右肩上がり増配しています。
2026年度までの中期経営計画では、総還元性向を30%を目安にしています。
配当性向と優良な財務体質から見ても増配の余力はあります。
株主優待
残念ながら宮地エンジニアリンググループは、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
宮地エンジニアリンググループを買うなら、3300円の節目を守れるかに注目。
チャートを見ると22年2月に3790円の10年来の高値をつけて調整の下落中です。
調整で3300円付近まで下落して横ばいになっているので、ここが節目になっています。
月足移動平均は全て上向きで、週足移動平均線は13MA以外は上向きです。
ローソク足が13MAと26MAを割り込んでいるので、上昇トレンドが終わった可能性もあります。
事業内容は、国土交通省、高速道路会社、都道府県等の官公庁から発注される橋梁の製作・施工です。
かなり手堅い事業ですが、ライバルが多い業界というのも事実です。
しかし設計から維持・補修まで一貫して対応できる技術力は、他社にはない強みです。
いかに今後の大型プロジェクトに参画できるかに期待です。
配当は直近10年で右肩あがりで、23年3月期は配当を維持予想です。
26年度までの総還元性向は30%で、23年3月期の配当性向は31%になっています。
今期の配当性向や来期のEPS予想を見ると増配はないかもしれません。
しかし、優良な財務体質を見ると増配する余力は十分にあると思います。
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