不動テトラ(1813)の株価を分析していきます。
不動テトラを5つのポイントで説明
- 陸上と海上の地盤改良のエキスパート
- テトラポットのブロック事業の売上比率は少ないが国内首位
- 経営指標は平均的だが財務体質は優秀
- 月足移動平均線は上昇傾向だが週足移動平均線は下落傾向
- 買いは1800円を超えてからだが2000円台は高値圏内
不動テトラの概要
不動テトラは、地盤改良工事のエキスパートと言われる土木系のゼネコンです。
不動テトラは2006年に不動建設とテトラが合併し出来ました。
主な事業は、地盤改良事業とブロック事業、陸上・海洋土木、ブロック、地盤改良です。
不動建設は、創業時から地盤改良事業と陸上土木に強みを持っていました。
1956年にサンドコンパクションパイル工法という世界初の地盤改良工法を誕生させています。
この技術は60年以上経った今も活躍しています。
東日本大震災では、東京湾沿岸部で液状化が発生しました。
しかし、不動テトラが施工した東京ビッグサイトや臨海部埋立地は被害を免れています。
テトラは、日本国内でテトラポッドの普及を目的に設立されました。
その経緯から、海洋土木と消波ブロックの製作用型枠賃貸を主力に行っていました。
合併した後も消波ブロックの製作用型枠を貸し出すブロック事業に強みを持っています。
不動テトラでの売上比率は高くありませんが、国内シェア約30%で業界トップです。
現在不動テトラは、地盤改良事業を中心に海外展開をしています。
2005年、米国に現地法人を設立。
2008年にベトナムのホーチミン、2015年にインドネシアのジャカルタに駐在員事務所を開設しました。
現在まで、地盤改良工事に特化して東南アジアや北米を中心に実績を積み重ねてきました。
近年ではアフリカでの営業活動を推進しています。
不動テトラの独自技術
不動テトラは、地盤のエキスパートとして多くの地盤対策技術を開発しています。
特許件数も毎年10から20の特許を取得していて、累計特許件数は350件以上と業界トップです。
そんな不動テトラの独自技術で代表的なものを紹介します。
サンドコンパクションパイル工法
引用:不動テトラ
不動テトラを代表する工法の一つにサンドコンパクション工法があります。
この工法は、不動テトラが1956年に世界で初めて開発した工法です。
内容は、砂で出来た杭を軟弱な地盤に打ち込んで強固にする工法で液状化対策に使われています。
高速道路の高架下、護岸工事、海上空港などの軟弱地盤に実績があります。
具体的な施工実績は、関西国際空港や神戸空港、中部国際空港です。
陸上の案件は全体の80%を占めていて、シェアは85%。
また今までに地中に打ち込んだ砂杭の長さは累計39万キロ以上。
この39万キロは月に到達する長さなので、いかに実績があるかが分かります。
テトラポッド
引用:不動テトラ
消波ブロックで有名な「テトラポッド」は、不動テトラの商標登録です。
消波ブロックの技術を最初に日本に導入して、製品化したのが不動テトラです。
河川上流から下流や海、さらには砂防まで様々なニーズに対応した製品を持っています。
事業セグメント
不動テトラは、4つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:道路、トンネル、橋梁、下水道等の陸上土木工事と港湾、埋立護岸、海岸等の海洋土木工事の施工
- 地盤改良事業:陸上・海上の地盤改良工事の施工、施工機械の賃貸及び関連する商品の販売
- ブロック事業:港湾・漁港・空港・河川・海岸等の護岸に使用される消波、根固ブロック製造用の鋼製型枠の賃貸及び関連する商品・実験設備・ソフトウェア等の販売
- その他事業:保険などのサービス事業等
不動テトラの売上構成比率(2021年3月)
売上高の主軸は土木事業と地盤改良事業になり、2つの事業で全体の93.6%を占めています。
特に特殊土木の地盤改良事業では、ライト工業に続いて国内2位の売上規模です。
不動テトラの利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も土木事業と地盤改良事業になり、全体の82.2%を占めています。
21年3月期の土木事業の利益率は6.3%、その他事業の利益率が7%です。
ただし売上総利益の内、販管費及び一般管理費が58%を占めています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:11.3倍
- PBR:0.95倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとほぼ平均的な企業と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、2000円を超えると高値圏内にあることが分かります。
1月の高値1823円を割り込んでいますが、1700円が節目になっているのが分かります。
月足移動平均線は、12MAと24MAが上向きですが、60MAはまだ横ばいです。
ローソク足は、60MAでサポートされているようにも見えます。
週足移動平均線を見ると13MAと26MAが下向きになっています。
目先は下落傾向で、52MA付近まで下落しています。
もう一度上昇しても24MAで押さえつけられる可能性もあります。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1996年に2586億円、営業利益の過去最高は1993年の89億円です。
22年3月期は、下記の3つが主な要因で増収減益予想です。
- 土木事業:手持ち工事が着工間もない工事中心になり採算性が一時的に低下する見込み
- 地盤改良事業:減価償却費の増加
- ブロック事業:災害復旧需要の一巡で型枠賃貸の売上減少
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.11%
- ROE:8.39%
- ROA:5.00%
- EPS:155.8円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を少し上回る企業になります。
大手ゼネコン23社の平均営業利益が6.7%なので、平均を下回る利益率になっています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:54.2%
- 有利子負債倍率:0.03倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を大きく上回る企業です。
直近3年の自己資本比率は上昇傾向にあり、有利子倍率は無借金に近い0.03倍です。
余剰金は増加傾向ですが、総資産に対して19.7%しかありません。
営業CFはプラスで、投資CFと財務CFはマイナスになっています。
しかし、投資CFと財務CFは支出超過としています。
営業CFで大型工事の完成で売上債権の回収が進んだので、結果的に収入超過になりました。
中期経営計画
2027年度に収益力を維持したまま売上高を25%増加させる長期経営計画を策定しています。
引用:不動テトラ
2021年度から2023年度までの中期経営計画を成長・拡大期間として策定しています。
経営数値目標
引用:不動テトラ
中期経営計画の22年3月期の予想は、売上高は少しの増収ですが純利益は20%の減益予想です。
投資方針
引用:不動テトラ
中期経営計画では、3年で150億円の積極投資で戦略的投資と収益基盤の多様化に取り組んでいます。
内容は、M&A・設備・研究・開発・人的資本等です。
21年7月には、子会社がアメリカの地盤改良会社のAGI社を持分法適応会社にしています。
株主還元政策
株主還元目標
引用:不動テトラ
株主還元に関しては、安定的な配当を継続することを基本方針にしています。
不動テトラは、配当性向を40%程度としています。
また余剰資金が発生した場合には、自社株買いなどで還元することを宣言しています。
株主総利回り(TSR)
引用:不動テトラ
過去5年の成績は、TOPIXと比較しても遜色のない水準です。
また、TOPIX建設セクターと比べても上回る結果となっています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:60円(2022年3月期)
- 配当利回:3.39%(2021年9月3日)
- 配当性向:38.5%
不動テトラは17年3月期に減配をしていますが、これには記念配当の20円が含まれていました。
22年3月期の配当は、60円の維持を予想しています。
22年3月期は20%減益、配当性向38.1%を考えると妥当な水準です。
余剰金が総資産に対して19.7%ですが、財務体質は優良なので増配余力は問題ありません。
株主優待
残念ながら不動テトラは、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
不動テトラを買うなら、1800円を超えてから買いを検討したい。
不動テトラは、特殊土木の地盤改良工事に強みを持っています。
「国土強靭化の5か年で加速計画」や大阪万博での需要が見込めます。
しかし22年3月期の決算予想は、微増収減益です。
チャートを見ても月足は上向きですが、週足移動平均線は下落しています。
長期保有目的の場合でもまずは1700円をしっかり守れるか確認したいです。
経営指標を見るとROEとROAは、ゼネコンの中でも平均的ですが、利益率は平均を下回っています。
財務体質は、高い自己資本比率とほぼ無借金経営の有利子負債倍率です。
出来れば、余剰金が総資産に対して19.7%なので30%を目指してほしいです。
配当に関しては、22年3月期も配当維持で5月から7月までに自社株買い実施済です。
配当目的で購入するよりも、国土強靭化や大阪万博などのテーマでトレードする方がよさそうです。