安藤ハザマ(1719)の株価を分析していきます。
安藤ハザマを5つのポイントで説明
- 土木と建築のどちらにも強み
- 合併後の売上高は一進一退
- 経営効率は平均的だが財務は優良
- 23年3月期まで総還元性向50%以上に引き上げ
- 800円付近がで反発しているが上値は重そう
安藤ハザマの概要
安藤ハザマは、土木に強みを持っていた間組が、建築に強みを持っていた安藤建設を吸収合併して出来た準大手ゼネコンです。
安藤ハザマは、関東地域を中心に高層マンションやビルの建築と修繕に強みを持っています。
実際にマンションやビルなどの大規模修繕に豊富な実績を持っています。
また建築分野では「城郭の復元」の実績があります。
日本の木造天守閣の本格的復元は、これまでに掛川城・白河小峰城・白石城・大洲城の4件だけです。
安藤ハザマはその中の白石城・大洲城の復元を担当しました。
歴史的建造物の修復は、既存の施設の修復だけでなく耐震性の向上が求められます。
難しい技術が必要な中で2件の実績があるということは、安藤ハザマの技術力の高さが分かります。
また土木事業にも強みを持っていて、土木学会賞(技術賞)を複数受賞しています。
準大手ゼネコンで土木学会賞を単独またはJVの主催企業で何度も受賞しているのは安藤ハザマだけです。
特に、ネパールの悲願だった「シンズリ道路」の全工区の建設を安藤ハザマが完成させています。
このプロジェクトは国土の8割が山岳地帯のネパールで、総延長160km、高低差1300mの難工事でした。
この工事を完成させた事を見ても、安藤ハザマは土木技術に強みを持っている事が分かります。
土壌環境修復
引用:安藤・間
これは2019年7月時点の実績ですが、土壌対策で業界トップクラスの対策工事実績を持っています。
事業セグメント
安藤ハザマは、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:国内外の土木工事全般に関する事業
- 建築事業:国内外の建築工事全般に関する事業
- グループ事業:連結子会社の建設用資材の販売・リース、土木・建築工事の施工等
- その他事業:調査、研究受託業務等
安藤・間の売上構成比率(2021年3月)
安藤ハザマは土木工事、建築事業のどちらも強みを持っています。
しかし売上高は、建築事業の方が約55%と大きく占めています
安藤・間の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸は土木事業になります。
土木事業の利益率は13%、建築事業の利益率は約5%になっています。
これは、準大手ゼネコンの中でも高い利益率です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足3年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.6倍
- PBR:1.04倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると、ほぼ妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、現在の株価は800円の節目に戻されています。
また株価はこの数年横ばいになっていて、800円付近で反発しています。
週足5年チャートを見ると800円を境目に支持線を作っている事が分かります。
26MA、52MAは上向きですが、13MAは下を向き始めています。
また、チャートのローソク足も13MAを割り込んで26MAでサポートされています。
まずは目先の800円で反発する事を確認したいです。
しかし日足では25MAが75MAをデッドクロスしているので、反発は厳しいと判断できます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2017年に4079億円、営業利益の過去最高も2017年の370億円です。
2013年に合併してから売上高は一進一退を繰り返しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:6.69%
- ROE:10.83%
- ROA:4.65%
- EPS:85.2円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なのでほぼ平均的な利益率です。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、平均を少し上回る経営効率の良い企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:43.0%
- 有利子負債倍率:0.17倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均的な自己資本比率です。
有利子倍率は、1倍以下の0.17倍なので健全な財務状況です。
また余剰金は増加傾向になっていて、総資産に対して33.8%あります。
中期経営計画
VISION 2030
引用:安藤・間
経営数値目標
引用:安藤・間
23年3月までの中期経営計画では、経常利益、ROE、配当性向の向上を掲げています。
経常利益の向上で、建設外の利益率を2%引き上げる目標を立てています。
安藤ハザマも、非建設分野の不動産やエネルギーなどで新たな収益源の確保を目指しています。
配当に関しては、財務状況が優良なので増配に期待したいです。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:30円(2022年3月期)
- 配当利回:3.64%(21年6月16日終値)
- 配当性向:35.2%
配当は、10年連続減配をしていません。
直近4年は配当維持でしたが、中期経営計画で総還元性向50%としていました。
22年3月期予想のEPSは85.6円と、21年3月期に比べて4.2円の減少です。
総還元性向50%を考えると、増配と自社株買いが期待できます。
20年11月16日から21年11月16日までに上限100億円、1800万株上限の自社株買いを発表しました。
進捗は5月末時点で約66億円の854万株の買い付けを完了させています。
株主優待
残念ながら安藤ハザマは株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
安藤ハザマを買うなら、短期的には800円付近で反発したので買いを検討出来る。
しかし、週足の25MAは下落傾向にあるので840円付近で押し戻される可能性があります。
また800円付近が節目なので、中期的には、まだ反発出来たと言えません。
800円を割り込むと次の節目は650円になります。
さらに650円を割り込むと500円付近を考えなければいけません。
しかし、自社株買いを発表しているので、ここまで下がる可能性は低いと思います。
ただし10年チャートを見ると、近年は1年半かけて高値と底値を繰り返しています。
また、高値を切り下げているのも気になります。
現在も高値を付けて株価を下げているので、短期的に上昇しても上値は重いと予想されます。