鉄建建設(1815)の株価を分析していきます。
鉄建建設を5つのポイントで説明
- 鉄道工事の実績はゼネコンの中でトップ
- 利益の主力は土木工事事業だが他のゼネコンと比べても利益率が低い
- 民間土木の売上の3割は鉄道関係で主要受注先は筆頭株主のJR東日本
- 19年3月期までの営業CFは安定していなかったが20年3月期から改善傾向
- 短期的に1900円が節目になっているが長期的には下落傾向
鉄建建設の概要
鉄建建設は、鉄道関係の工事を中心にトンネル・道路・橋梁・マンションなどが得意な中堅ゼネコンです。
創業から現在まで鉄道工事でトップクラス実績で、現在の筆頭株主はJR東日本です。
会長、社長、副社長はJR東日本出身者なので、いかに関係の強さがあるかが分かります。
鉄建建設の前身になる「鉄道建設興業株式会社」は、鉄道輸送の確保と増強のための国策会社として設立されました。
初代社長に鹿島組の鹿島精一が就任します。(鹿島組は現在の鹿島建設、鹿島精一氏は当時の鹿島組の3代目組長)
こういった背景もあり2002年には、鉄建建設とJR東日本と鹿島建設の3社連携強化を発表しています。
鉄建建設は、鉄道関係工事で地下空間、地盤・基礎、立体交差を中心に多くの技術開発を行っています。
また今まで培ってきた技術を活かして、ベトナムやミャンマーなどの東南アジア4か国に進出しています。
鉄道工事のトップランナー
引用:鉄建建設
鉄建建設は、鉄道建設興業の時代から鉄道関係の工事を得意としています。
現在も民間土木工事が全売り上げの約3割を占めています。
特に関わりの深いJR東日本が主力の受注先になります。
鉄建建設・鹿島建設・JR東日本の3社連携
引用:JR東日本
2002年に鉄建建設・鹿島建設・JR東日本の3社で「3社による連携強化」を発表しています。
この発表では、JR東日本が鉄建建設を鉄道関係工事の中核企業と位置づけています。
鹿島建設と連携を強化することで、技術開発・人材交流などを通じて経営基盤の強化を図っています。
実際に利益の拡大と連携の強化を目的として、鉄建建設と鹿島建設で株式相互取得が行われています。
事業セグメント
鉄建建設は、主に5つのセグメントから成り立っています。
- 土木工事:土木工事の請負並びにこれに関する調査、企画、測量、設計、監理、マネジメント及びコンサルティング
- 建築工事:建築工事の請負並びにこれに関する調査、企画、測量、設計、監理、マネジメント及びコンサルティング
- 不動産事業:不動産の売買及び賃貸等の不動産に関する事業全般
- 付帯事業:主に土木工事及び建築工事に付帯する資機材販売や警備業務等の事業
- その他事業:スポーツ施設運営等の事業
鉄建建設の売上構成比率(2021年3月)
引用:鉄建建設
鉄建建設の売上高は、土木事業と建築事業のバランスの取れたポートフォリオになっています。
鉄建建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も土木工事事業になり、全体の約70%を占めています。
21年3月期の土木工事事業の利益率は約4.4%、建築工事事業の利益率は約1.6%になっています。
鉄建建設の利益率は、他のゼネコンと比べても利益率は低いです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足3年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.7倍
- PBR:0.48倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、2014年の9月に高値をつけてから右肩下がりになっています。
月足移動平均線は、3本共下向きなので下落傾向です。
またローソク足も月足移動平均線を全て割り込んでいます。
週足移動平均線も3本共下向きなので下落傾向ですが、13MAが上向こうとしています。
直近の7月12日に窓を開けて1900円台に入りました。
そこから下落しても1900円を下値で反発しているので、当面はこの1900円を守れるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1997年に3061億円、営業利益の過去最高は1995年の993億円です。
21年3月期は減収増益、22年3月期も減収増益予想になっています。
しかし他のゼネコンと比べて新型コロナの影響は少ないが鉄建建設です。
主力の受注先がJR東日本という特徴があるので、今後の業績も安定していると考えられます。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:3.56%
- ROE:6.23%
- ROA:2.11%
- EPS:249.9円
中堅ゼネコン8社の平均営業利益率は4.9%なので、利益率は少し低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、平均を下回る経営効率の企業です。
財務状況
財務実績
引用:株探
- 自己資本比率:33.8%
- 有利子負債倍率:0.48倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、自己資本比率は低いです。
直近3年の有利子倍率を見ると減少傾向で、1倍以下の0.48倍です。
余剰金は増加傾向にありますが、総資産に対して13.7%しかありません。
キャッシュフロー推移
引用:株探
引用:バフェットコード
営業CFは20年3月期に大幅な減少しています。
しかし、直近10年で見るとあまり安定した営業CFではありません。
21年3月期も改善されているので、この調子で安定して改善してほしいです。
投資CFは直近3年で比べると大きな変動はありませんが、少し減少傾向にあります。
自己資本比率・有利子負債・余剰金は改善傾向ですが、営業益はまだ安定していません。
本業はこれから持ち直そうとしている状態です。
中期経営計画
鉄建建設は、2023年に向けた中期経営計画を策定しています。
TEKKEN 10年ビジョン
引用:鉄建建設
土木事業は大規模修繕や国土強靭化に参画して、建築事業では、設計・施工案件や大型プロジェクト案件の受注拡大を目指しています。
経営指標
引用:鉄建建設
鉄建建設は、23年に売上高1890億円、営業利益86億円を目指しています。
株主還元
引用:鉄建建設
株主還元は配当性向を30%を目途にしています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:80円(2022年3月期)
- 配当利回:4.18%(21年7月20日終値)
- 配当性向:32%
配当は、14年3月期に復配してから8年連続減配をしていません。
現在の配当性向は32%なので、中期経営計画の株主還元30%を見ても高い水準ではありません。
しかし、EPSは5年連続減少しているので注意が必要です。
株主優待
残念ながら鉄建建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
鉄建建設を買うなら、短期的には1900円付近で購入したい。
短期的には1900円を節目にしていますが、長期的にはまだ下落傾向です。
現在も月足、週足の移動平均線は全て下向きです。
鉄建建設のファンダメンタルを見ると、自己資本比率や有利子負債倍率は問題ありません。
しかし、利益率や営業CFが安定していない、EPSも年々減少は気になります。
そういった事もあってチャートは右肩下がりになっています。
今後の事業展開は、JR東日本との関係が深いので安定した案件があると考えられます。
しかし、鉄道事業だけでは業績の成長は見込めません。
一般建築や一般土木だけでなく、新事業や不動産事業をいかに増やしていけるかに注目です。