コムシスHD(1721)の株価を分析していきます。
コムシスHDを5つのポイントで説明
- 電気通信設備のサブコンで業界1位
- 主力はNTT設備事業だが今後はIT・社会関連事業が成長分野
- 経営効率は平均を下回るが利益率は平均を上回る
- 総還元性向70%を目安にしていて配当金は10年連続増配予定
- 株価は2400円で底打ちして週足26MAを超えれるかに注目
コムシスHDの概要
コムシスHDは、電気通信設備のサブコンで業界1位の企業です。
サブコンとは
大手電気通信設備サブコンの中で、コムシスHDとエクシオGがほぼ同じ売上規模で約5900億円です。
しかしコムシスHDの時価総額は3425億円、業界2位のエクシオGの時価総額が2366億円です。
またNTT設備関連売上は、市場の38%をコムシスHDが占めています。
コムシスHDは、日本コムシス、三和エレック、東日本システム建設の3社共同の株式移転で設立しました。
- 日本コムシス:通信建設業界においてトップクラスの規模
- 三和エレテック:KDDIへの売上主力の通信設備業者
- 東日本システム建設:長野と新潟のNTT東日本を中心とする情報通信工事、電気設備工事を行う企業
また直近では21年11月に藤木鉄工、22年7月には長野のSUNグループを子会社化しています。
これによりコムシスHDの工事能力をさらに拡大して成長を目指しています。
コムシスHDの強みは、現在のポジションそのものです。
情報通信建設業界は、コンプライアンスや施工技術から参入障壁が高い業界です。
その中で業界1位のコムシスHDの事業規模自体が強みになっています。
また強みの通信設備工事以外に、様々なインフラ工事を手掛けています。
代表的なインフラ工事が、都市の環境整備やICT関連工事、太陽光発電などの再生エネルギー事業です。
事業セグメント
コムシスHDの事業は、4つセグメントで成り立っています。
- NTT設備事業:NTTグループ向けに有線・無線ネットワーク構築における電気通信設備工事
- NCC設備事業:NTTグループ以外の電気通信事業者向けに有線・無線ネットワーク構築における電気通信設備工事、CATV工事、付帯設備工事
- ITソリューション事業:キャリア向け事業で蓄積したノウハウと最先端のネットワーク技術を融合させて、お客様業務に最適なシステムインテグレーションの企画提案から保守サービスまで、IT分野のトータルソリューションサービスを提供
- 社会システム関連事業等:通信土木・一般土木工事および施設・ビルなどの電気設備の設計・施工を始め、ビル・倉庫・工場などの建築、防災設備、さらに都市インフラビジネス、太陽光発電システムなどの環境エコ関連事業
主要事業会社グループの主な担当事業
引用:コムシスHD
- 日本コムシスグループ:主にNTTグループを中心とした電気通信設備工事事業
- サンコムグループ:主にNTTグループ以外の電気通信事業者向けの電気通信設備工事事業
- TOSYSグループ:信越エリアでの電気通信設備工事事業
- つうけんグループ:主に北海道エリアでの電気通信設備工事事業
- NDSグループ:主に東海・北陸エリアでの電気通信設備工事事業
- SYSKENグループ:主に九州エリアでの電気通信設備工事事業
- 北陸電話工事グループ:主に北陸エリアでの電気通信設備工事事業
- COMJOグループ:情報処理関連事業
- コムシスシェアードサービス:主にグループの事務共通業務(総務・人事・財務・給与・社会保険等)及び派遣事業等
コムシスHDのセグメント別売上構成比(2022年3月期)
引用:コムシスHD
コムシスHDの売上の主力は、NTT設備事業になり全体の42.4%を占めています。
その次に、社会システム関連事業等が31.4%、ITソリューション事業が17.2%、NCC設備事業が9.0%となっています。
コムシスHDは、NTT設備事業とNCC設備事業は横ばいで推移する見通しです。
今後は、社会システム関連事業とITソリューション事業を成長事業に設定しています。
コムシスHDのグループ別売上構成比(2022年3月期)
コムシスHDのグループ別利益構成比(2022年3月期)
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:11.3倍
- PBR:0.88倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると少し割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、月足移動平均線は3本共下向きです。
また、12MAは24MAと60MAを割り込んでいるので長期的には下落傾向です。
直近5年では、株価は2700円付近を底値圏にボックス相場を形成していました。
この2700円の節目を割り込んで、現在の節目は2400円付近になっています。
週足5年チャートを見ると3本共下向きで中期的には下落傾向です。
ローソク足は、26MAで押し戻されているので下落トレンドです。
週足5年チャートを見ると2400円付近で底打ちを試しているようにも見えます。
まずは、この2400円の節目を守りながら週足移動平均線の26MAを超えていけるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2022年に5890億円、営業利益の過去最高も2022年で429億円です。
売上高は6期連続の増収で過去最高を更新しています。
23年3月期の売上高は減収減益を予想しています。
原材料価格の高騰、半導体不足での部材納入遅延等が減収減益の理由です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:6.55%
- ROE:7.22%
- ROA:5.29%
- EPS:214.2円
電気通信設備サブコン3社の平均ROE8.19%、ROA5.14%です。
コムシスHDの経営効率は平均を少し下回る企業になります。
電気通信設備サブコン3社の平均営業利益が6.17%なので、平均を少し上回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:64.5%
- 有利子負債倍率:0.10倍
コムシスHDの財務体質は、優秀な財務体質です。
電気通信設備サブコン3社の自己資本比率の平均が58.9%です。
コムシスHDの自己資本比率は、3社のなかでも平均をわずかに上回る企業です。
さらに有利子倍率は0.10倍なのでかなり健全な財務体質です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して53.2%もあります。
中期経営計画
コムシスHDは、2024年3月期までの中期経営計画を発表しています。
業績目標
引用:コムシスHD
コムシスHDは24年3月期の目標を売上高6000億円以上、営業利益500億円以上、総還元性向70%を目安にしています。
しかし、23年3月期の計画を下方修正しています。
引用:コムシスHD
事業戦略
引用:コムシスHD
- NTT固定事業:高度無線の反動により一時的に低調も23年度はIT活用等により収益性を向上
- モバイル事業:NTTモバイル系事業が投資コントロールにより低調も要員をシフトしNCC事業を拡大
- IT・社会関連の成長事業:M&Aも含めて順調に拡大。得意領域への集中で利益率を改善
- NTT事業の要員シフトを含む構造改革を推し進め収益性向上と成長力を強化
株主還元施策
引用:コムシスHD
23年3月期は、自己株式取得を20億円を追加して総還元性向70%目安を実施しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:100円(2023年3月期)
- 配当利回:4.12%(2022年12月9日)
- 配当性向:46.6%
コムシスHDの配当は、2010年からは一度も減配していません。
23年3月期の配当金は、100円を予定していて10年連続増配予定です。
コムシスHDの財務状況と剰余金比率はかなり優秀です。
今後の配当維持や増配余力に関しては問題ありません。
株主優待
残念ながらコムシスHDは、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
コムシスHDを買うなら、2400円で底打ちして週足移動平均線の26MAを超えてから購入したい。
チャートを見ると月足と週足を見てもローソク足が移動平均線を割り込んでいます。
株価は底打ちを試そうとしていますが、移動平均線を見ると下落傾向になっています。
まずは週足移動平均線の26MAを超えていければトレンドの転換になるので様子を見たいです。
コムシスHDの経営効率は大手通信設備3社の中でも平均を少し下回ります。
しかし営業利益率は、大手通信設備3社の中でも平均を少し上回ります。
財務体質も平均的ですが、数値はかなり優秀です。
株主還元についても積極的で総還元性向70%を目安にしています。
また配当金は10年連続増配予定で、自社株買いの取得額を70億円に増額しています。
今後の増配の余力は、優秀な財務体質なので増配余力は十分あります。
コムシスHDの主力事業は、NTTグループの向けの事業になります。
また、NTT以外の各キャリアの受注もあるので今後も安定していると思われます。
今後の成長は、社会システム関連事業等とITソリューション事業に設定しています。
この2つの成長事業でNTT設備事業の比率を分散できるかにも注目です。
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